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コラム

Column

2025.6.4

“16歳の決断”から再出発へ――元女子プロゴルファー鈴木さんが語る「セカンドキャリア」と「ゴルフのこれから」

「本当に、ゴルフが好きだったんです。」
静かにそう語る表情の奥には、確かな芯と、長い時間をかけて熟成された覚悟が宿っていた。

2024年12月。
一人の女子プロゴルファーが、静かにツアー生活にピリオドを打った。
16歳でプロ宣言という異例のキャリアを歩みながら、10年以上の歳月をゴルフと共に生きてきた彼女が、いま新しい道へと歩み始めようとしている。

今回、YouTubeのスポーツドキュメント企画に出演してくださったのは、元女子プロゴルファーの鈴木さん。
彼女が私たちに語ってくれたのは、華やかな表舞台の裏で繰り返されてきた葛藤、そしてゴルフというスポーツが持つ可能性だった。

「父と歩んだ10歳からの道」
鈴木さんがゴルフクラブを初めて握ったのは10歳のとき。
きっかけは、ごく身近な存在――父親がゴルフのティーチングプロだったことだった。

「最初は遊び感覚でした。でも、次第に“もっと上手くなりたい”って思うようになって…。部活とかに入らず、父と1対1でみっちり練習していました。」

部活動での“仲間と切磋琢磨”という形ではなく、家庭の中に練習環境があった彼女。
幼い頃から技術を着実に身につけ、ジュニア時代には各地の大会で結果を残しはじめる。関東大会、全国ジュニア…。
その名は次第に注目されるようになる。

しかし、その輝かしい道には、突然の暗転があった。中学を卒業した直後、彼女を襲ったのは椎間板ヘルニアだった。

「一度、諦めかけた」――リハビリと1年の空白
「手術とリハビリで、約1年間クラブを握ることができませんでした。」

この空白は、10代の選手にとってあまりに大きい。
実力が急伸するこの時期に、完全に足を止めることは競技者として致命的――。
だが、鈴木さんは「それでも、もう一度挑戦したい」という思いを胸に秘め、ゴルフへの情熱を燃やし続けた。

「むしろ、諦めたくなかったんです。ここで辞めたら、絶対に後悔するって思ったんですよね。」

16歳での“プロ宣言”――その決断と重圧
そして迎えた16歳。
周囲が進学や将来に迷う中、鈴木さんはある大胆な選択をする。

それが「プロ宣言」だった。
「ゴルフ界では、賞金が発生する大会に出て、その賞金を受け取ることで“プロ”になります。
私は“もうやるしかない”って気持ちで、16歳でその道を選びました。」
当時は話題となり“最年少プロゴルファー”としてテレビや雑誌に引っ張りだこになる。
だが、その裏側にあったのは、周囲からのプレッシャーと「本当に自分はやっていけるのか」という不安だった。

「クラブハウスの空気すら違う。周りは30代、40代のベテラン選手たち。自分だけ場違いな感じがして…」

プロツアーは甘くない。数戦連続で予選落ち、実力差に直面し、時に心が折れそうになる。
だが17歳のある日、転機が訪れる。
とあるツアーで、彼女は初めて優勝争いに絡む。

「あの時の感触、今でも忘れられないです。あれが“自分にもやれるかも”って思えた瞬間でした。」

「ゴルフは、生き方そのものだった」
そこから数年間、彼女はプロゴルファーとして第一線で戦い続けた。
テレビ中継、観客の声援、全国を転戦する日々。
だが、華やかさの裏で、身体は静かに悲鳴を上げ始めていた。

そして2024年――再びヘルニアが再発。
「このまま続けたら、歩けなくなるかもしれない」
医師からそう告げられたとき、彼女は半年かけて引退を決断する。

「つらかったです。でも、やり切ったという思いもありました。」

“教えるゴルフ”へ――セカンドキャリアの決意
現在、鈴木さんは「教えるゴルフ」「広めるゴルフ」へと軸足を移している。

「私、もっと“ゴルフって気軽なんだよ”って伝えたいんです。よく“お金がかかる”とか“年配の人のもの”って思われてるけど、
実はすごくシンプルで、習い事として子どもにも最適なんです。」

将来的には、自身のスクールを持つことも視野に入れている。
今はテレビ番組やイベント、インフルエンサー活動なども行いながら、より多くの人に「ゴルフの間口」を広げようとしている。

「ピアノやそろばんと同じ。ゴルフも、子どもの生活に自然と入ってくるような存在になってほしいんです。」

再出発の春に――これからの鈴木さん
思えば10歳で握ったクラブが、人生のすべてを変えた。
16歳での決断も、20代の苦悩も、そして今の笑顔も――
そのすべてが「ゴルフ」と共にあった。

「これからは、誰かの“最初の一歩”を応援する人になりたいです。」

プロとしてのキャリアを終えても、彼女のゴルフは、まだ終わっていない。
それは形を変え、舞台を変え、これからも誰かの心を動かしていくのだろう。

まとめ“夢のかたちを変えて、前へ進む力”
10歳で始めたゴルフに情熱を注ぎ、16歳という若さでプロの道を選んだ鈴木さん。
順風満帆にはいかず、度重なるケガや葛藤にも向き合いながら、全力でクラブを振り続けてきました。
引退という決断は、終わりではなく、新たな出発点。

選手から指導者へと立場を変えても、彼女がゴルフに懸ける思いは変わりません。
むしろ、“競うゴルフ”から“楽しむゴルフ”へ──その価値を伝える存在へと進化しようとしています。

夢のかたちは、変わってもいい。
情熱を持ち続ければ、人生は何度だって輝き直せる。
鈴木さんの歩みは、そんな勇気を私たちに教えてくれます。

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