スポーツコミュニティ


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Column

2025.6.26

【コラム】トランポリンがくれた、人生の転機と「共育」の理念

学生時代、部活に打ち込んだ体操競技。その経験が、まさか私の人生を大きく変えるとは、当時は想像もしませんでした。すべては、2人の小学生の指導を頼まれたことから始まります。

小さな教室から始まった「トランポリン革命」
「責任はすべて自分で取る」「自分の好きに決めていい」「すべて自分で完結させる」――。そんな、まるで起業家のような条件で始まった体操指導。マニュアルもない中、試行錯誤の日々でした。しかし、この「自分で考え、作り出す」経験こそが、今の体操教室の原点になったと確信しています。

教え始めた2人の小学生が体操を心から楽しんでくれたおかげで、彼らは毎週のように友だちを連れてきてくれました。半年も経たないうちに、教室はあっという間に25人規模に。その中には、明らかに運動が苦手そうな子もいました。彼らの表情は「来たくなかったけど、断れなかった」と語っていましたね。

そんな子たちに、どうすれば体を動かす楽しさを伝えられるか。頭をひねり、思いついたのがトランポリンでした。最初は嫌そうな顔をしていた子が、トランポリンに上がって飛び方を教えた途端、満面の笑みに変わった瞬間は忘れられません。「楽しい!来週も来たい!」その言葉を聞いたとき、私の中のトランポリンの概念がガラリと変わりました。

体操選手にとってトランポリンは空中感覚を養うための道具です。しかし、彼らにとってそれは、運動嫌いを克服し、体を動かす喜びを知るための魔法の道具だったのです。この気づきが、現在の私たちの体操教室の大きな柱となっています。日本全国に数多ある体操教室の中で、トランポリンを「ご褒美」ではなく、飛び箱などと同じように「一つの種目」として提供しているのは、おそらく私たちだけでしょう。

スポーツは最高の「人間教育ツール」
私のもう一つの転機は、教育実習で訪れた荒れた中学校での経験です。職員室で喫煙する生徒、廊下を飛び交うロケット花火。私が通っていた頃の穏やかな母校は、まるで別世界になっていました。

そこで出会ったのは、いわゆる「不良グループ」と呼ばれる3年生たち。彼らとどう接すればいいか悩んだ末、私は体育館に彼らを誘い、「バク転を教えてあげるよ」と声をかけました。すると、彼らは毎日体育館に通い続け、3週間、一度も休むことはありませんでした。

この経験で痛感したのは、スポーツが持つコミュニケーションツールとしての計り知れない力です。バク転という共通の目標を通じて、彼らは私に心を開き、家庭の悩みや学校への不満を打ち明けてくれました。それは、普段先生にも話さないような、彼らの心の叫びでした。スポーツは、単に体を動かす喜びだけでなく、信頼関係を築き、人間性を育む最高の教育ツールだと気づかされたのです。

教育実習の最終日、彼らがくれた大きなサボテンは、今でも大切な宝物です。水やり不要で、日当たりに置いておけば育つ。きっと彼らなりに「この先生は世話が苦手そうだ」と話し合った結果だったのでしょう(笑)。

「スポーツを通じて人間教育を」
27歳で会社を創業する際、私は改めて自分自身に問いかけました。「自分は何でできているのか?」答えは明白でした。私の人格形成のほぼすべては、スポーツを通じて培われたものだったのです。

私たちは、オリンピック選手を育てることを目標にはしていません。私たちが目指すのは、スポーツを通じて「人間教育」を行うことです。たまたまそれが体操というプログラムだっただけで、種目への強いこだわりはありません。体を動かす楽しさや喜びを伝えることはもちろん、スポーツを通じて子どもたちが人間として成長していくこと。そこに最も重きを置いています。

マニュアルのない状況からすべてを自分で作り上げた経験、そして運動が苦手な子に光を当てたトランポリン、荒れた中学校でスポーツの可能性を肌で感じた教育実習。これらすべての経験が、今の私たちの「スポーツを通じた人間教育」という揺るぎない理念を形作っています。そして、この理念に共感し、共に「共育」の道を歩んでくれる仲間が、今日も全国の子どもたちと向き合っています。

筆者:スポーツコミュニティ株式会社 代表取締役 中村伸人


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